HEROS

2018.12.27
no.18
ミシオ
Mishio
ギャラリーで生活する美術家

プロフィール


ミシオ

ギャラリーで生活する美術家

京都生まれ石巻在住。
生活・制作・展覧会・作品販売・イベントなどの運営を行うオルタナティブ・スペース「おやすみ帝国」代表。


ヒーローになりたいなら、ヒーローを名乗らないと駄目だって言われて


 

ミシオさんはなぜ石巻で活動することになったんですか?

僕の中でここに決めたっていう理由はなくて。

理由はない。

もともと京都にいたんですけど、学校に通えなくなっちゃって、まずいどうしようってなった時に、師匠みたいな人に石巻でお会いして、そこで誘われたので来たっていう。

師匠がいたから来たということ。

こっちに来たのも、あこがれのヒーローが石巻で展覧会をしていたから来たんですけど。

憧れのヒーローに導かれて、石巻で活動している

師匠っていうと本人は否定するんですけど、どっちかっていうと先生というか面倒見てもらってるヒーローっていう感じなんですけど。

先輩ヒーローみたいな。

歳はめちゃくちゃ離れてるけど先輩ヒーローみたいな。で、その人が言うにはヒーローを目指しているっていうのは甘えやって。

ヒーローを目指すのは甘え?

ヒーローを目指しているのと、ヒーローになっているのとでは戦っている土俵が違うと。お前がヒーローになりたいんだったら、ヒーローを名乗らないと駄目だって言われて。そこでヒーローって名乗ることにしました。

なるほど、名乗ることにしようと。

ちょっと怖いですけど。僕にはすさまじい存在がヒーローということなので、それを僕が名乗っていいのかと。だけど覚悟を決めて、こっちに引っ越してきました。

どのように覚悟を決められたんですか

一旦、実家に帰ってちょっと考える時間を作りましたね。どれだけキツイことを言われても、僕はヒーローになりたいっていう目標があったので。 

既に活躍している方から覚悟決めろと言われたことによって、腹から覚悟を決めることができた?

そうですね。やっぱりちょっと試されてるような感じもあったので。

 


ヒーローはそんなやつを助けるほど甘くないんだぞ


 

 

ヒーローとして覚悟を決めて、その後はどうですか?

僕が想像していた敵って、ヒーロー界と同じ位置にいると思ったんですけど、実は日常生活レベルで敵はわんさかいるってことが気が付きまして。しかも悪は僕が作ってるっていう。

支障がない範囲でいいのですが、日常生活で出てくる敵というのは。

要するにあの、僕の怠慢さ、はっきり言うところを言えないっていう、それは自分に甘いからっていう。まずは僕が悪を作らないようにして、やっとヒーローが戦っているところに行ける。

そもそもヒーローになる以前に、自分が悪の組織を作ってしまっているみたいな。

実はそうだったんですよ。ヒーローはそんなやつを助けるほど甘くないんだぞって師匠からも言われまして。

ヒーロー以前の問題が..今はどうなっていますか。

悪を作っちゃう原因が見えてきてるんで、見える所はリストアップしてチェックを付けるっていう。チェックパンチって呼んでるんですけど。

チェックパンチってなんですか。

あの、鉛筆でチェックの形を描くように刺すっていう。

必殺技ですかこれは。

そうですね。

それで改善できていますか?

そうですね。

凄いですねそれ

まあ、まだまだなんですけど、ちょっとずつ、いい方向には向かってるんじゃないかなって。

修行っぽさがありますね。

そうですね。

なんでパンチなんですか。

必殺技っていつも僕思うんですよ、なぜ、最初から出さないのかって。要するにケジメをつけましたよっていうスタンプだと思ってるんですよ、スタンプを押して、カメラに向かって振り返って敵が爆発するっていう、その一連の前振りも含めたプロセスの一番最後が必殺技。

なるほど。このチェックパンチ的な世界観って美術家としての活動においても反映されたりするものってありますか。

そうですね、チェックパンチまでの時間がかかるタイプで、何回もやり直して、ジャブを撃つ感じでやってみて、1回やってみてなんか違うなって、もう一回やり直しで。あ、これはいけそうだっていう最後の所でチェックパンチが出るので、苦戦してばっかりなんですけど、出る時は出るって言う感じですね。

それは作品においてもっていうことでですか。

そうですね。

もう一度確認するとチェックパンチって何をすることでしたっけ。

チェックをすることです。

できたことにチェックをすること?

できたことにチェックすることです。

 


戦いのイメージが出来ないと僕は先に進めない


 

 

必殺技はヒーローの性質や個性に繋がってくると思うのですが、ミシオさんのヒーローの悩みの部分っていうのを聞いてもいいですか。

そうですね、どうしても、戦いのイメージができないと僕は先に進めないっていうのがあって。戦ってないのに無駄に疲れるみたいなことはあります。ヒーローを目指そうと思う前の、悩みごとの塊を未だに引きずってるっていう。

問題を把握するのが苦手ということですか?

それはずっとあると思ってます、ただマシにはなってると思います。小学校のときも何が問題なのか、何が敵なのかもさっぱり分からなくて、結果的に諦めたんですけどそれは。

この石巻に来て、先輩ヒーローとの日々、生活する日々において、チェックパンチをしながら、少しずつ改善されてきている。

そうですね。石巻って人の関わりが強いっていうか、この街中とかは特にそう思うんですけど。いろんな人の目があって、いろんな人の耳があって、いろんな人の口があって、それはとてもやさしいし、親切でもあるので、原因がはっきりわかるっていうか。

色んなフィードバックがやってくるっていうか、いっぱい親戚がいるみたいな感じですね。ミシオさんにとっては、辛い状況ではあるけども、自分を成長させる糧になっている。

そうですね。だから、この町に来てよかったっていうか、感謝っていうか、すごくありがたく思っていますし、だからこそ、ちゃんと結果を出したいって思いますね。

結果というのは、例えばそれはどういう結果を考えていますか。

周りから、ああ、ミシオはちゃんとヒーローになったんだねって言われると一番うれしいですかね。

自分はまだちゃんとヒーローになれてないっていう感じがあるのですか。

そうですね。覚悟はできたがヒーローとしてはまだまだ未熟なので、一人前のヒーローになるっていうのは凄く大切だなって思います。

まずは周りからちゃんとしたヒーローだねって認めてもらえることが一つあると。そうなった時に、どういう場所や未来を作りたいと思ってますか。

ヒーロー界の歴史ってあるじゃないですか、こういうヒーローがいて、このヒーローが歴史を塗り替えてっていうことがずっと延々と続いていて、僕もやっぱりその一部に行きたいっていうのはありますね。

 


生きる才能がないからこそ、逆張りで生きる


 

 

自分というヒーローを一言で表すとどうなりますか。

「生きる」ですね。生きる才能がないと言われ続けてきたんです。僕はずっとそれを引きずっているので、逆張りじゃないですけど、生きる才能なんていらないんだって。むしろ、生きる才能がない分、こう生きるっていうことがこう見えてくるんじゃないかっていう。

そのまま引きずり倒して別の形にできたらっていう感じなんですかね。この場所もかなり逆張りだと思っていて、ギャラリーに住むことによって見えてくる石巻というのはありますか。

そうですね、石巻っていうものが背負っている歴史っていうのがあまりにも特殊で、この町の人たちは個人の差はあれど、それすらも日常の一部になっている。石巻に住んでいなきゃ感じることのできない部分っていうのが見えた瞬間が度々あって。住むと決めた以上は自分なりに向き合っていかないといけないなって。

向き合っていくっていうのも重要な姿勢な気がしますね。

当時、僕は石巻とはかかわりもなかった。住み始めて一年も経ってないし、ずっと石巻で住んでた人達と同じ感覚にはなれないと思うんですけど、なれないなら、なれないなりの立ち位置だったり、何かできることはあるはずだと。それは社会にとってっていう大層なものじゃなくて、自分の中でケジメなのかもしれないですし、それは分からないですけども、自分の腑の落ちるものがあるといいなっていう。

向き合っていくこと、生きること、美術家がクロスする部分を聞いてみたいです。

ヒーローって僕の願望だなって思いましたね。自分がヒーローとして動いてるっていうよりも、僕にとってはヒーローになるまでがすごく大事なんだなって。初めてヒーローの世界を見て、誰にでもできるシンプルなことで、見てる世界がガラッと変わる、こんなすごいことはないぞって。

それが美術。

そうですね、完全に美術とヒーローがリンクしちゃってるっていうか。作品を作ってる時は意識してるかもしれないですね。今も引きずっている視点が常にあって、それを踏まえて作品を作るっていうのがありますね。

ヒーロー、何年か前の自分にだったらどういうメッセージを投げますか?

アホのまま生きてればいいんじゃないかって、逆張りのままやってこうぜっていう。

そのままで行けよと。

そのうち何とかなるんじゃないかっていう、そういう感じで。

その言葉で勇気を持つヒーローが未来に生まれると思います。

頑張ります。ありがとうございます。

ありがとうございます。

 

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