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まちづくり
2019.1.31
no.22
苅谷智大
Kariya Tomohiro
東北が大好きなまちづくりエージェント

プロフィール


苅谷智大

Kariya Tomohiro

東北が大好きなまちづくりエージェント

名古屋市出身。まちづくり会社「街づくりまんぼう」社員。COMMON-SHIP橋通り運営事務局。

 


そこにどれだけ自分のアイデアとか意見を織り込めるようになったか


 

かりやさん、主な活動ってどんなことをしてるんですか?

まず、COMMON-SHIP橋通りの運営。それから、商店街の人とまちに人を呼ぶ企画を考える。イベントもそうだし、街並みづくりみたいなことも相談を受けながら、こちらも提案する。最近だと、漫画を生かしたまちづくりいうことで、マンガロードを漫画漫画させていこうっていうことをやってます。後はいわゆるコンサルティング。石巻市から委託を受けて街なかの計画づくりのお手伝いをしている。大きくはその4つ。

この話を聞いただけで、関わる人の数と、所属、種類がものすごい幅広いですね、大変じゃないですか。

そうですね、これをなんて言って説明すればいいんだろう。

まちづくりという括り方をされて来たんですよね。ただ、それだけだと何かこう伝わり切らない部分があるんですかね。この中では、かりやさんはどういう役割を担ってるんですか。

それ、石巻に来てからすごく変わってきてると思っていて。最初の頃は石巻のことわかんないし、何か動かそうと思っても、自分が言ったことが通ることはまずなかったんですよ。だから、とにかく相手の言うことを聞いて、今これがやりたいんだけど、お金がない、知恵がない、時間がない、手が足りないから貸してみたいなところにこう、ハイ!ハイ!って言ってやってた感じだった。今もあんまりそのスタンスは変わらない。その人たちの意見を聞きながら、自分たちの意見やアイデアをそこに織り込んで、その人たちを動かしながらやっていくみたいなスタンス。そこにどれだけ自分のアイデアとか意見を織り込めるようになったかっていうのが、当初と今では違ってきている。

最初に石巻に来たのはいつですか?

最初に来たのは2011年から、8年かかって、ここ1、2年でようやくさっき言ったようなことを感じるようになった

2011年からもうすでに来てたんですか?

僕は5月ぐらいから。

すでに、街づくりまんぼうとして?

その時は街づくりまんぼうにアルバイトだったりとか、ボランティアとかインターンとかいろんな肩書使ってですね。まだその時は学生だったので、本所属は大学、大学院生として。ただの学生のお手伝いとしてではなくて、立場を貰いながらやってました。だからなおのこと、入りにくかったっていうのはあります。

学生なんですねー、みたいな。

そうです。だから、色々教えてくれたりとかはあったと思いますけど。

それが時を経て、2019年、ようやく自分の言ったこと、意見やアイデアが少しずつ周りの人たちのやりたいことに混ざっていったっていう感じなんですかね。

そうですね、逆にまちの人からは相談されることも増えてきたっていう。


カチャッと上手く歯車を変えたらば、みんなハッピーになるんじゃないの


 


織り交ぜて形になって印象的になった事例ってありますか?

イベント的な面だと、去年のハロウィンのときに売り出しの企画。今まで商店街組織っていうのが各通りにあったんですけども、それがなくなったんですよね。だから、イベントやるなら自分たちで身銭を切らなきゃいけなくなった。そんな余裕はないよ、やる人もいないし、やらなくていいかなってなっていた。そこで、自分たちの商品を売り込むのは自分たちしかできないのだから、自分たちでお金を出してやらなきゃいけないのでは、その為の協力はするのでやりませんか?みたいな感じで言って回った。

まちなかを走り回っているかりやさんが頭に浮かんできました。

結果、50店舗ぐらい集まって。結果は鳴かず飛ばずだったんですけど、こういうことをやってるよっていうPRは少なからずできたし、かりやさんが動いてるからっていうのが、多分あったんだろうなっていうのを肌で感じて。いつかは効果を出させないといけないし、自分に対する、まんぼうに対するすごいプレッシャーだと思ってるんですけど、それがすごい象徴的だったんです。

音頭を取る人の存在や、誰が音頭をとるかっていうのはこの界隈で重要だったりするんですかね。

そうだと思いますね。でも、やっぱりいわゆる地元の人たちも動いていかないと面白くないというか。何かが動いて、そのカウンターの動きがあって、またその動きがあって、みたいな相対的な動き。移住者だけが頑張って、外から若い人たちだけで頑張ってるっていうのは、なんか石巻においてはあんまり面白くないんじゃないかって。

音頭だったり、50店舗を集めたりだとか、かりやさんの目の付け所は集団や組織だとか、少し大きく言うとコミュニティ。そういうものには興味があるのですか。

ありますね。僕はそもそも、人生というか仕事におけるモチベーションは、震災関係なしにこの東北をよくしたいなっていう思いがあったんですね。東北って恵まれてるところだと思うんです。資源だとか自然だとか食にしても文化にしても。なのに、なんでこんなに弱ってんだろっていうところの葛藤というか、ものすごい問題意識があって。カチャッと上手く歯車を変えたらば、みんなハッピーになるんじゃないのっていうのがあって。ただ、自分がパッと東北全体を変えられるわけでもなく。元気に働けるの5-60年しかなくて、その中でどれくらい強いインパクト与えられるかっていうと、結局は近くから変えていかないと広がっていかないよなって。近い人からマインドからアクションから変えていくにはどうしたらいいかなって思うところはあります。


あるものを最大限どうやって活用していくかっていう考えをどこかでしなければならない


かりやさんはヒーローとして、それをどのようにアプローチしていますか?もしくはどういう技を使いますか?

なんていうんだろうな、敵を作らない主義。別に敢えてそうしてるつもりはないんですけど、人間悪いところもあるけど良いところもあるので、その人のいいところを探すっていうか、本気で見つけようとする癖があるんですけど。普通に生活してる中でその人のあらを探すのは好きじゃないし、だから、あんまり人の悪口を言わないようにしてるし、多分言ってないんじゃないかなと。結果的にそういうのがむかつく、気持ち悪いみたいな人も居るかもしれないですけど、そんなに敵は多くないかなって思っています。それを生かしていこうっていう。むしろ石巻では上手くいってる可能性があって、八方美人作戦。

必殺技は八方美人なんですかね。

そうですね。

効果的ですよね。特に色んな人を集めるとなった時には重要ですよね。あの人は無理とかになると、いびつな集団になるというか。特に商店街はひとくくりにしていかないと。

地域とかまちとかっていう単位でなんかやろうと思うと、人を選別するっていうのは難しくって。会社とか組織でも難しいんだけど、最悪、首にする。会社であればね。でも、まちにはそれってないんです。村八分って基本はないから、あるものを最大限どうやって活用していくかっていう考えをどこかでしなければならない。それ自体も無理だ、できる人はできる人でやるべきだっていう人もいるけども、全体で見たら居る人の中でどうすべきかっていう風にするしかなくて。

これ、技だと思うんですけど、かりやさんを一言でいうとどういうヒーローですか。

一言。自分で言うのも全然あれですけど。良い人。いや、そりゃね、最終的につらいこともあるんですけど。すぐ「いいっすね!」って言っちゃうんで、「それ絶対思ってないでしょ」って言われます。

軽いって言われます?

軽いって言われます。

それってやっぱり、いいとこを見ることができるからですよね。すごくわかります。

ですよね。

ただ他の人からすれば、そこまで探そうとしてなかったり、面白くないとか受け入れようともしないので、つまんないって言える。見えるとなにかと肯定したくなります。

もしかして、そっち系の人なんですか。

私はそっち系です。そうですそうです。でも、役割なんですよねきっと。

役割分担、そういう人も必要なんじゃないかって自己肯定してます。


自分の思っていることを筋道立てて言えるっていうこと


 


良い人で、優柔不断だったり軽いって言われがちだけど、その中で八方美人っていう作戦を使って、敵を作らず、周りをつなげる。ハブとなって色んな人を集めていく、その中心がいびつだと、集まった形はいびつなものになると思うんですよね。

最終的にみんながやりたいことはそれぞれあって、さっきいった4本の柱の中でも自分ではこういう風に進めていきたい、柱があって、そこに人を乗せていきたいっていうのがありますね。

それはどういう風にですか。

例えばマンガロード。新しくモニュメントを作ったけども、マンガロード自体がアーティスト参加型のミュージアムみたいにしていきたいんですよ、一つ一つに作品として題名があってキャプションがあって、作った人の名前があってみたいな。それの裾が広くどう伸ばしていくか。

いま聞いていて思いました。優柔不断と言われるかりやさんですが、かりやさんの頭や心の中が整頓されてるからこそ、周りの人を受け入れられるような許容が生まれてるというか。

ただ、昔からこう八方美人的なことは昔から言われてきた。若い頃、10代とかはすごい嫌だった。スパッといえるようになりたいって思っていたんだけど、30歳ぐらいになってからは、まあいいんじゃねみたいな。自分の中では譲れないものは持ってるつもりだし、とりあえず良いものは良いっていうスタンスは貫くべきかなって。

結果、一本筋が通ってるのかなって。

ただ、すべてにおいてやっぱり判断基準を持ててるわけではないので、迷う時はあるから、やっぱりいろんな人に教えてもらいながらしなきゃいけないんですけど。その幅が自分で判断できる範囲が広くなる、っていうか一本通ってるものが出来上がるというか。

良い人、八方美人的に敵を作らないことを踏まえて、ヒーローかりやさんはこういう未来を作っていきたいとかこういうの進めていきたいって思うものはありますか?

なんだろう、この倦怠感をなんとかしたいって思いますね。石巻に特に街中ってすごい倦怠感にあふれてる。震災後のユートピアみたいな感じを引き継ぐべきだとは言わないけども。先日のまちなかでのあるイベントはすごい新鮮だったし、面白かったんだけど、あれがなんかこの平時、通常のまちの雰囲気になったら全く変わるだろうなって。

あの雰囲気はどういう雰囲気だと思いましたか?

自分の思っていることを筋道立てて言えるっていうこと。なにか自分の思っていることを喋るって自分の中で整理して、こう思うとか、こうしていくべきだとかっていう自信があるから語れるし、人の話を聞けると思うんですよね。ああいう風にまちの人たち、市民の人たちがなれたらいいなって。

ある意味で言うと、それは主張できる街というか、主張を聞きあえる対話ができる場所があるっていうまちなんですかね。

ただ、単純にあの場があったからっていうそういう単純な問題じゃなくて。なんであれだけ喋れる人があそこに集まったのか。なんで彼らは喋れたのか、話を聞けたのかってなるとそれぞれの理由があると思うんです。それをもっと広げていくにはどうしたらいいか。

今後のきっかけにもつながりそうな要素はいっぱいあったんですね。対話のあるまち、私は好きですね。かりやさんこれからもよろしくお願いします。ありがとうございました。

ありがとうございました。

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