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2019.3.12
no.27
比佐野 皓司
Hisano Koji
チャレンジする人を陰から
サポートする不動産屋

プロフィール


比佐野 皓司
Hisano Koji

チャレンジする人を陰からサポートする不動産屋

千葉県出身、石巻在住。明海大学不動産学部卒。信和物産株式会社代表取締役。


アパートの空室をもっと有効活用できないか


 

普段どういうことをされているのかお聞きしてもよろしいですか。

私は不動産業をしております。まずひとつに賃貸物件。お部屋を探している人への紹介と契約、その後の入居手続きから、建物に不具合が生じた場合の修理手配などがメイン。もうひとつは、大家さんが所有するアパートの管理。空室ができたら入居者の募集、退去したら部屋の修繕を行って新たに入居者を募集する。あとは不動産の売買ですね。不動産を売りたい方からの相談があって、買い手さんを募集するという形。賃貸、管理、売買という不動産業界の三本柱でやっております。

その中で、新たに動いていることはなんでしょうか?

街の不動産の空室問題です。まず、人口が減少している。人口が減るとまちの需要がなくなる。まちの需要がなくなると不動産の価格が下がる。となると、不動産の仕事がなくなっていく。その中で少しでも人口流出を食い止めるためにいかに街の魅力を上げるのかというのが、不動産業として非常に大事になってくるだろうなと。人が集まらない街には不動産の需要もない。やはり、価値のある街をこれから作っていかないといけないなと思っています。

石巻は空室が多い街ということですよね。

震災直後は被災した方、工事関係者、いろんな方が居て、アパートの入居率は非常に良かったのですが、復興事業なども落ち着き始めるとともに、現在は空室がどんどん増えてきています。このまま傍観していては街がスラム化してしまう。これをなんとかしなければいけないなと。この対策としてアパートの空室をもっと有効活用できないかと考えているときに、いろいろな方に話を聞くと「事業をやってみたい、けれども場所がない」という方が結構多いことに次第に気が付くようになったんです

事業ですか?

例えばこれまで、お店を始めたい人は大きなテナントを借りて、高い家賃を払うために借金をして、というのが一般的でした。でも今は確かにテナントは多くないけれど、空室は多い。それだったら、アパートの一室で何か手軽開業体験のようなことができたら面白いんじゃないかとそうして若い人が集まれば、もしかしたらこれは魅力的なまちづくりにつながる可能性があると考えているところです。


古い賃貸住宅でも魅力的な物件として価値を見出していきたい


 

個人的な感想なのですが、不動産もしくは管理会社の方は、会社に居るというイメージがあります。ただ、比佐野さんの場合は街にどんどん出没して、イベントにも参加しています。なぜ、比佐野さんはそのような行動をするのだろうと興味があります。

街の人たちがどう考えているのかが非常に大事だと考えています。震災後に街中で活躍してる方たちの中には、実は不動産会社をあまり仲介せずに物件を借りているという方々が多くいました。大家さんと仲良くなって、直接テナントを借りて、自分たちで作っている。いち不動産業界の人間としてこの動きには、非常に興味を持ちました。そして知れば知るほど、私もそういう方たちと出会って、自分たちの不動産をもっと活かしてもらいたいという想いが膨らんだんです

街以外にも、福岡のリノベーションイベントに行かれていますよね。そのモチベーションが気になります。

不動産ずっと新しいままだったらいいのですが、必ず老朽化します。空室問題とともに老朽化していく不動産をどのように活用するのかも重要な課題です。ただ朽ちて終わってしまってはあまりにもったいない。そのような思いがあった中で福岡で今、ビンテージビルという方向性が注目されています。福岡の街近年「古い=安い・悪い」ではなく、「古いものほど価値がある」という概念が生まれています。そこに何かヒントがあるんじゃないかと思って、私も足を伸ばしてみているんです。

石巻の街では新しい建物が増えてきています。古いものに価値を見出すという考え方、思想はまだ少ないと感じますか?

最近の若い人たちについて言えば、古いものに価値を見出すという方が石巻で多くなっていると思います。DIYで中古住宅を直したりという話もよく聞くようになりましたし。ただそれはあくまで中古物件の話で、賃貸住宅ではその動きはまだあまりありません。これからは古い賃貸住宅でも魅力的な物件としての価値を見出せるのだということを広めていきたいですね。


不動産が変われば街が変わるんじゃないかと


比佐野さんは地元は石巻ではないのですよね。いつ頃来られたのですか?

2012年の1月です。石巻出身の妻の実家が被災して、こちらに移住してきました。それまでは東京で不動産業をしていました。石巻に住むようになってひしひしと感じたのは、人が減っていく街なのだということだけど私はそこが面白いと思った。人口が減る前提で動いてる街は面白いなと。

そこに面白さを感じるのですか?

そうですね。眠っている潜在的な不動産をどんどん引っ張り出して、街中で活躍してる人たちに提供していける可能性も大いにありますし、結果としてそれで街がにぎやかになればそんなに面白いことはないじゃないですか。私はやはり、まちづくりをする上で一番大事なところは不動産だと思っているので、不動産が変われば街が変わるんじゃないかと。そういう意識で動いてます。

人口が増えていく街のほうが可能性が秘められていると思います。減っていく場所に対して、逆に踏み込んでいくのはなぜなのでしょう。

日本自体が少子化でどんどん人口が減っていく中で、東京の人口は増えてるかもしれないですが、そのうち必ず減っていきます。その波は地方から始まって、徐々に東京に押し寄せるでしょう。この石巻で人口が減っている現象が東京で同じように起こる。となると、今、石巻で起こっているのは日本の最先端の出来事じゃないかと。だからこそそこに、まちとしての面白みを感じるんですよね

中心から発信されていたものが、反転して、地方のものが逆に中央に反映されていくというか。

そうですね。あと、中国と韓国もこれから日本を追って少子化が進んでいくので、世界の最先端のまちという可能性もあります。それをまえても人口減少の影響を直接的に受ける不動産業というのは、やっぱり面白みがあるなと思いますね。


住んでいる人たちが楽しめる街を作っていきたい


不動産を通して人の流れが目に見えてくる。私たちには見えていない街の見え方なのかなと思いました。この話も含めて、比佐野さんは一言で言うと、どういうヒーローだと思いますか。

僕はヒーローというよりは、ヒーローが活躍する場を提供する立場だと思います。これからヒーローになりたい人たちを、陰で支えていくという黒幕的な立場で仕事したいなって思いますね。

なるほど。戦隊シリーズなど、活躍するヒーローの裏ではサポートする存在がいますよね。

はい、ジャムおじさんとかですね。

一言で言うと、ジャムおじさん。技があるとしたらそれはどんな技ですか。

人と人をつなげることがやはり基本ですね。

比佐野さんならではの繋ぎ方があるように思います。

例を挙げるなら、移住者の人は、地元の人とのつながりが構築されていないことが多いですよね。そこを私がそれぞれに話を聞いて、「あの人とこの人が出会ったら面白いだろうなあ」と感じたらマッチングする。想像してもとても面白いですよね。

比佐野さんがまちに繰り出して、活躍してるプレイヤーをリストアップし、マッチングをする。ヒーロー紹介業のような感じがしました。

不動産というのは実は何でも屋みたいな感じなんです。情報が集まるところでもあるので、何でも相談していただけたらと思います。

ヒーロー像が明らかになってきたところで、今後どういう世界を実現していきたいと思っていますか?

住まいを通して、石巻を楽しい街へと少しずつ変えていきたいです。それは自分たちが楽しいのではなくて、住んでいる人たちが楽しめる街を作っていきたいなと思っています。これから人口が減っていく中では、みんなで協力していくことが必要になってきます。人と人のつながりを持ったまちづくりができれば、みんなが楽しく生活ができるんじゃないかなと。アパートの騒音クレームというのが時々全国的にも問題になりますが、それは隣の人がどんな人かわからないから起こるのであって。互いのつながりが生まれると、日常生活でギスギスすることが断然少なくなりますよね。ヒーローやプレイヤーに活躍の場所を提供しながらも、入居者が楽しめる企画を作って新たなつながりを広げていく。不動産屋の役割として、そこを模索しながらやっていきたいですね。

住んでいる人たちが楽しめる街。ぜひ、住んでみたいです。今後の活動も応援しております。ありがとうございました。

ありがとうございます。

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