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まちづくり
2019.3.23
no.30
中田 心
Nakata Kokoro
子どもの居場所を作るハッピーウーマン

プロフィール


中田 心
Nakata Kokoro

子どもの居場所を作るハッピーウーマン

1992年生まれ/鳥取市出身/石巻在住/鳥取大学地域学部地域文化学科卒/出張だがしや「とりどり」代表/石巻市子どもセンターらいつスタッフ。


誰も知らないところで生きるとどうなるかを試してみたかったんです。


 

中田さんが石巻に来たきっかけは?

特に何もなくて。鳥取の大学で就活をしていて、途中で飽きてフラフラしていました。海外にでも行こうかなって思っていたんですけど、お金を貯めていなかったので、まずは国内で修行してからにしようかなと。そのあと、ネットで子ども関係の仕事を探して、前の職場の「NPO法人にじいろクレヨン」を見つけて、石巻に来ました。

石巻に来るのは初めてですよね。そこに躊躇いはなかったんですか?

誰も知らないところに行ってみたいという気持ちがあって。誰も知らないところで生きるとどうなるかを試してみたかったんです。

そういう風に思うようになった理由はなんですか?

もともと、大学に入る気もなかったんですけど、高校の先生がいい人で、「もっと広い世界があるよ」って教えてくれたんです。大学では社会学に興味をもって学んでいて、社会的弱者とされる方とお話する機会がありました。ハンセン病、セクシュアルマイノリティ、在日外国人の方など、世の中にはいろんな歴史があり、多様な人がいて、知らない世界があるんだなと思いました。今まではずっと地元の実家に暮らしていたので、これからはもっと自分を色々試したいと考えるようになりました

にじいろクレヨンに加わってからは、どんなことをされていたのですか?

石巻は震災を機に子どもたちの遊び場が少なくなっていて、まずは遊び場を作ることから始めていました。それを2015年から2017年まで続けて、もっといろんな世界を見たいなと思うようになりました。ひとつの組織の中だけで石巻を感じるのは勿体ないなって。元々は修行のために来ていたので。

修行のためですか。

地元で子どもたちをメインとして色んな人やモノ・コトが集まる場所をつくりたいと思っていて。そのためにも、色んな経験を積まないといけないなと。


私にもできるかもと思って、駄菓子屋を始めました。


 

そのエネルギーはどこに向かったのですか?

石巻ではさまざまなチャレンジをしている人がいますよね。私にもできるかもと思って、駄菓子屋を始めました。名前は「出張だがしやとりどり」です。いろんな人がいて色とりどりって意味です。地元の鳥取、私のあだ名であるピーコック(孔雀)など、色んな意味が重なっています。地域のコミュニティスペースを借りて土曜日に開店していました。現在は月二回のペースですね。でも、駄菓子屋だけでは生きていけないので、いろんな仕事を掛け持ちしていました。

駄菓子屋をやりつつ、色んな仕事を掛け持ちしたのちに、現在のお仕事へと?

色んな仕事を掛け持ちしていたらさすがに疲れてしまって。規則正しい生活を送るためにも、決まった時間でお仕事をするのもいいのかなって思い始めたんです。そんな時に今の職場から「働きませんか」と言われて。

現在はどのようなことをされているんですか?

石巻市子どもセンター「らいつ」のスタッフです。その中で主に「子どもまちづくりクラブ」という活動を担当しています。震災後に小中学生を対象にアンケートをとったのですが、「まちのために何かをしたい」という声が約9割だったんです。それじゃあ何かしようとなって、ワークショップを重ねて生まれたのが「らいつ」。まちづくりの企画はその後も続いていて、今のクラブの形になっています。

「まちのために何かしたい」と子どもたちは思っていたんですね。

そうなんですよ。先日は、石巻=漫画にちなんで子どもたちが企画したコスプレイベントに300人ぐらいお客さんが来ました。私の仕事は、企画を実現させるためのサポートですね。あとは普通に遊んだり、恋愛相談を聞いたりしていますね。


みんなハッピーな社会になればいいのにって思っています。


中田さんは一言で言うと、どういうヒーローだと思いますか?

駄菓子屋のおばちゃんですかね。駄菓子屋のおばちゃんって親でも先生でもないけど、話を聞いてくれたり、ある時は叱ってくれる頼れる存在。そういう人になりたいなって。

確かにいつもいてくれる安心感はありますよね。

そういうのって大事だなって思うんですよね。子どもたちが安心できる場所は思っているよりも少ない。自分が母子家庭で育って、子どもの頃にそういう場所が欲しかったというのもありますが。お母さんは仕事で忙しくて家には全然いない。親に言えない悩みがあった時に、近くに大人がいたら救われるのになって。

他人だけど、頼れる安心感がある人。

ここでは、そういう役割ができているかなと思います。ただ、施設の中だけではなく、もっとローカルに活動していきたいなと。地域の人との関係を密にしたい。

なるほど。ヒーローとしての技はどうでしょうか?

ハッピーオーラですね。子どもたちに、「変だね」とか、「バカだね」ってよく言われて笑われたりするんですね。やっぱり対等である、というのは重要だと思いますね。人として楽しく生きていく。みんなハッピーな社会になればいいのにって思っています。

ハッピーオーラがゆえに大変だなって思うことはありますか?

大人に対して憂鬱になることがありますね。もっとゆるくていいじゃんって。駄菓子屋で子どもと来た親が勝手に買うものを決めたりしていて、そうじゃないよなって思ったり。子どもには色んな選択肢があるのに制限されているじゃないですか。もっと自由に生きてもいいんじゃないかなって思うんですよね。

今の話を踏まえて、中田さんは今後どういう風に未来を作っていきたいですか?

みんながハッピーに生きていける社会を作りたいです。世界平和まではいかなくても、私の目の前にいる人だけでも笑っていて欲しくて。その人たちに幸せになってほしいなって思いますね。そこから仲間が増えて、輪が大きくなっていったら嬉しいし、みんなでできたら最高だなって。

ハッピーオーラ全開の駄菓子屋、今後の活動も楽しみにしております。ありがとうございました。

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