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2021.2.13
no.40
櫻井 育子
Sakurai Ikuko
誰でも調子に乗れる書道の場を生み出す
書道ファシリテーター

櫻井 育子
Sakurai Ikuko

誰でも調子に乗れる書道の場を生み出す書道ファシリテーター

1979年生まれ/宮城県石巻市
生涯発達支援塾TANE 代表、発達支援コーディネーター、書道ファシリテーター


書道で表現することの面白さを子どもたちから教わった


どんな人でも気軽に参加できる書道の場を開催しています。だれでも調子にのって、表現をのびのび楽しめて、「書いてみたい」「やってみたい」をとことんできる場です。石巻の街中、そして河北地区の2箇所で月2回ずつ開催しています。そのほかにも、「おでかけ書道のじかん」と称して、いろんな場所で出張書道ワークショップをしています。

– 書道の活動はいつ頃からはじめられたのですか?

小さい時から、唯一続けてきたのが書道でした。学生時代に師範をとったのですが、そのあとは自分で創作するパワーがなくなってしまい、休んでいました。その後、教員時代に支援学校で書道の授業をしたとき、のびのびと表現する子どもたちの様子に感動してしまって。書道で表現することの面白さを、彼らから教えてもらいました。

– 教員時代の授業が、今の書道塾につながっているんですね。

2016年に教員を辞めたのですが、ある保護者の方から「教えて!」と言われまして。これをきっかけに「書道塾TANE」が生まれました。場所を変えたり、回数を変えたり、参加者が少ないと落ちこんだりしながら、じわじわと今の形になって5年目に突入しました。


「うまい・へた」から「誰がなんと言おうと私はいい」の世界へ


– 活動を継続するモチベーションは、どういった部分から生まれていますか?

書道塾を通して、「わたし、天才かも〜!」とか、「なんか気持ちいい〜」とか言いながら自分の字を楽しんでいるのを見ると、とても幸せな気分になります。「私は字が下手だから」って言う人が多いのですが、学校で習った時みたいにお手本通りに書く、みたいなイメージをする人が多くて。「うまい・へた」「できる・できない」みたいな世界から、「誰がなんと言おうと私はいい」と言える人が増えるのは嬉しいですね。

– 表現する面白さを、みんなで体感する場になっているんですね。

そうですね。あとは、価値観が逆転することですね。書道塾はだれでも参加オーケーなので、障害がある人たちもたくさん来てくれます。でも、彼らの字を見て「おお〜!」と感心する人もたくさんいます。自閉症の青年が、書の仕事(舞台タイトル)を頼まれたりすることもありました。いつもは支援される側の人たちが、ここでは師匠側になっているのも面白いです。


書道塾TANEは「表現することを楽しむ」実験所


– 活動の主なフィールドである石巻はどのような街だと感じていますか?

石巻生まれなのですが、今までは正直好きではありませんでした。震災後、少しの間離れていたのですが、最近、街の中でうろうろするようになってから新しいことがどんどん始まっていることに気がついて。

– 好きじゃなかった街に変化が起きていた。

はい。面白い人たちがたくさんいることを知って、魅力的な街だなと思うようになりました。いい意味でいろんな人が混ざり合える可能性がたくさんある。「障害」という言葉は、今はまだ特別扱いされがちですが、この街ならいつかそんなことを感じなくなる日が来るんじゃないかと思えるようになりました。

– 街の可能性を感じるなかで、これからの目標や意気込みを教えてください。

書道塾TANEは実験所のようなものです。書道はアートなのか、いやそうじゃないとか、いまだにいろんなことが言われてる世界なんです。私にとっては、表現すること=アート、なんです。でも、とにかく「表現することを楽しむ」という意味で、書道を面白がってくれる人たちが増えたらいいなと思います。

– 難しい話をする前に、まずは表現することを楽しむことから。

はい。また、次々と生まれてくる作品たちをしっかりと観てもらう機会を作っていきたいと思うので、「表現の場」「創作の場」「発表の場」をこれからもっと拡大、充実させたいです。2021年はとくに「発表」の部分に力を入れていきたいです。

 

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