HEROS

2021.2.23
no.46
有馬 かおる
Arima Kaoru
若いアーティストの居場所を
街につくりだす画家

有馬 かおる
Arima Kaoru

若いアーティストの居場所を街につくりだす画家

1969年生まれ/愛知県小牧市
画家


アーティストの居心地がいい場所、やりたいことができる場所を


2017年に石巻で開催された総合芸術祭「Reborn-Art festival」に出展したことがきっかけで、石巻に移住してきました。現在は画家の活動とアートスペース運営をしています。2018年はニューヨーク、2019年はパリ、2020年は東京で個展を開催しました。

– そもそも、アートスペースの運営を始めたきっかけはなんですか?

画家の活動をしているときに、貸しギャラリーでお金を払って展示をしていましたが、馬鹿らしくなってしまって。一週間の展示のために20〜30万使ってるのに、リターンをまったく期待できないなと。貸しギャラリー以上のコトが自分にできるのではないかと思って、脱サラして、自分でスペースを持ちました。当時(1996年)は珍しかったですね。

– アートスペースはどのように運営されていますか?

キラギロギャラリー(ART DRUG CENTER 2F)で、キラーギロチンが壁を制作中。

 

基本的には、アーティストの居心地がいい場所、やりたいことができる場所を目指しています。石巻に来て最初に作ったスペース「石巻のキワマリ荘」は、 地元の作家を集めて、地元の作家だけで運営できるようにしています。こちらはすでにリーダーの引き継ぎをして、運営からは抜けています。2019年から始めた「アートドラッグセンター」は、東北エリアをイメージして作家を集めています。現に、東北大学や、山形にある芸工大の卒業生が展示しています。


アートカルチャーがある所に行くか、アートカルチャーを作るか。


– 芸術祭終了後も、新たに石巻にアートスペースを作り、その後も滞在している理由は?

自分が住み始めたこの場所が、アートの街になっていったら楽しいだろうなと。 私自身がここに生きているんだから、ここを楽しくしたいというのが正直なところです。要は、アートカルチャーがある所に行くか、アートカルチャーを作るかのどちらかですよね。自分で作った方が面白いっていう生き方をしてきたので、場所はどこでもいいんだと思います。

– 場所にこだわりはないと。関東方面に戻りたいと思うことはありますか?

知り合いの作家に、「お金があっても石巻にいますか」と聞かれて、「東京行くに決まってるじゃん」「もっとあったらニューヨークに行くかな」と答えたんですよ。その後、家に帰ってもう一度考えたら、「ひょっとして、もっとお金があったら石巻にいるかもしれない」と思ったんです。それってなんでだろうって考えたら、自分にとって一番重要なのは健康と娯楽だと気づいて。健康はともかく、娯楽だったら自分でなんとかできるかもしれない。自分の住む街をこういうふうにできたらいいなと考えて行動するのは楽しいですし、 生きるモチベーションになっていますね。


冒険しやすい街だからこそ、若い人たちにはたくさん失敗してもらいたい



(ART DRUG CENTER 1F)ヒラノショウマ企画の展示を準備中。メイドルーム(ヒラノショウマ)は1月をもってADCを卒業。5月にアートスペースをオープン予定。

 

– 住む場所はどこでもいいけど、たまたまそれが石巻だった。

そうですね。ただ、石巻って意外に居心地がいいし、面白いんですよね。石巻駅周辺は、 歌人がいて、出版社の人がいて、アーティストがいて、起業家がいる。あるジャンルに特化した人たちが、なぜかこの周辺に異常にいる。ちょっと他ではないかもしれない。関東にいた頃は漫画家さんに一人も会えなかったけど、ここに来て結構会えました。やっぱりチャンスは多いのかもしれないですね。コミュニケーションの仕方によって、可能性がいくらでも広がる街。若い人たちには勉強になるんじゃないかなと。

– 最近はアートスクールの先生としても活動されていますが、教育にも興味はありますか?

年を取ってきたせいか、人が成長するのは見てて楽しいです。人が何かを超えた瞬間、閃いた瞬間、発光するんですよね。それを見たいという個人的な興味があります。人が悩んでいる時に、自分の助言でそれが和らぐのであれば、力を貸してあげたいと思いますし。私が上の世代にしてもらったことを、下の世代に伝えるっていうことですね。当たり前なことなんですけども、自分の役目だなと思います。

– 自分の成長だけでなく、下の世代の成長を楽しめるようになっていったのですね。

若い人たちが言ってくる無理難題を対応するのが楽しいです。それに、彼らの美意識や価値観が理解できない時があるので、それを聞いているのも楽しい。未だに自分が試されますし、お互いが成長できる。そういう関係が生まれる場を作っていきたいですね。あとは、教えすぎないように気をつけています。石巻には失敗を許してもらえる場所があり、失敗を許してもらえる人がいます。冒険しやすい街だからこそ、若い人たちにはたくさん失敗してもらいたいですね。

 

 

有馬かおる
HP : http://arimakaoru.blogspot.com/

ART DRUG CENTER
HP : https://artdrugcenterishinomaki.blogspot.com/
Twitter : https://twitter.com/artdrugcenter

OTHER HEROS