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2021.2.24
no.47
パルコキノシタ
Parco Kinoshita
地方におけるアートの可能性を研究する現代美術家

パルコキノシタ
Parco Kinoshita

地方におけるアートの可能性を研究する現代美術家

1965年生まれ/徳島県徳島市
日和坂アート研究舎 ディレクター


震災があって、お金よりも時間の方が資源だと思うようになりました


コトのアート研究所のスタッフとして働いている

 

一般社団法人MMIXLabによる「コトのアート研究所」というゲストハウスの管理人をしています。また、2011年から東北を中心に芸術の普及活動やアートによる復興支援の活動などもしています。

– アートの普及活動や支援を始めたきっかけはなんですか?

震災があって、 潮目が変わってきたというか。やりたいことがあったら今すぐやらなきゃダメだと思うようになって。お金よりも時間の方が資源だと思うようになりました。

– もともとは、何をされていたんですか?

田舎から東京に出てきて、20代後半からいろんな仕事をやっていました。例えば、いとうせいこうさん真心ブラザースが司会をしていた「ヒマラヤ」というスペースシャワーTVの「子供ブーム速報」というコーナーを担当して、セミレギュラーで出演していました。「タモリ倶楽部」に出たこともあります。後は、「ガロ」という漫画雑誌で連載をしてたり、「SPA!」ではイラストを描いたり、「POPEYE(ポパイ)」で新作ゲームの紹介記事を書いたり、「BRUTUS(ブルータス)」では映画の評論を書いたり、「スタジオボイス」でオタク記事を書いていました。フリーランスとしてたくさん仕事をしていましたね。

神出鬼没で福箱に並んで、正月にNHKに紹介され全国放送に出た時の写真

 

– 幅広くお仕事をされていたんですね!

そうですね。あとは、美術学校でデザイン系のパソコンソフトの使い方を教える非常勤の先生 をしていました。当時はMacブームもあって、ひとつのクラスに50人、PCルームにはパソコンが5台しかなかった時代でした。Macは中位の機種でも本体だけで100万以上する時代でした。25年間の教員時代で、3000人〜4000人ぐらいは教えてきましたね。


街で勝手に面白いことをやっている人たちが面白い


震災体験者にインタビューして震災紙芝居を制作した

 

– 長く続けられた仕事を辞めて、東北、石巻へ移住。惹きつけられた理由はなんですか?

東京や埼玉で体験したうまい飯だったり、優しい人情だったり、そういったルーツを辿っていったら、東北だったんです。 ずっと前から感じていた謎が解けた感じでしたね。あとは、震災直後、石巻の街がめちゃくちゃになっている大変な状況の中で、スケボーをしている若者がいて。状況的にはまずいですけど、それがなぜか不思議と最先端に見えたんですよ。石巻では現在もいろんなまちづくりが行われていますが、勝手に面白いことをやっている人たちが僕は面白いと思っています。

石巻を支えるのは街で面白いことをする若者たちだと思っている

 

– 若者たちが勝手に面白いことをやっている街。

はい。どの地方都市よりも、若者がこの街の運命を握っています。若者たちがコケたらこの街は終わる。それくらい若者たちが主役です。そして、そんな若者を街が応援しているところが最先端的だと感じますね。僕も本当に面白いことだけを勝手にやりたいなと思っています。小学生が描く用の塗り絵をおばあちゃんにやらせてみたりとか。結果、おばあちゃんがアートに目覚めるということがとっても面白いです。


アートで飯を食うというよりは、アートで何ができるか


四国放送ゴジカル!に出演、東北のアートを紹介する活動をしている

 

– 東京を中心に活動してきたパルコさんが、地方都市の街に面白さを感じられたと。

そうですね。それこそ、僕が若い頃は、東京にアートが集中していました。地方でアートをやろうとすると、まずは東京に行って、予備校に行って、美大に受験しなさいと言われるのが一般的。ところが、最近、石巻で活動している作家を徳島に連れて行って、彼らのアートを説明したら、ものすごい反響がありました。テレビで紹介されたりと大歓迎を受けたんです。地方でもアートが必要とされているという手ごたえを感じました。

– 地方におけるアートの可能性を見出し始めたんですね。

そもそも、アートで飯を食うというよりは、アートで何ができるかというのを研究したり試行錯誤したりするのが好きなので。震災後に「3.11」の絵を描いた時、絵を買いたい人が結構いましたが、全部断りました。 自分のアートを1円でも高く売るというのはあまり興味がないですね。アートが人と人の間に入ることで、何かが変化していくことに興味があります。自分が何を描きたいかよりも、この人のために何を描けば変化するのか、ということを考えています。

今、石巻で新たなアートの拠点作りに取り組んでいる

 

– これからはどのような研究、あるいは活動を考えていますか?

日和山に「日和坂アート研究舎」というアートスペースを作ります。この場所に、四国や九州など、地方で活動している面白いアーティストを連れてくる予定です。 ざわつかせるようなことしかやっちゃいけないと思っています。ひとつの展示をゆっくりやりながら、地方と地方のアートをつなぐハブのような拠点を作っていけたらと。

 

コトのアート研究所
HP : http://kotoken.org/

巻組 STORY「パルコキノシタ」
https://makigumi.org/story/473/

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