HEROS

2021.2.27
no.50
岡 泰史
Oka Yasufumi
人を想う気持ちに寄り添う
クリエイティブなお花屋

岡 泰史
Oka Yasufumi

人を想う気持ちに寄り添うクリエイティブなお花屋

1983年生まれ/宮城県石巻市
株式会社はなき 常務取締役


震災後、お花は生きていく上で必要ないと思わされた


「フラワーガーデンはなき」という生花店で常務取締役をしています。日常、ウェディング、ご葬儀など、その人の人生に寄り添ってお花を提供する活動をしています。2012年に石巻に帰ってきて、そのまま家の仕事を継いだ形ですね。 その前までは、東京で花屋の仕事を6年ほどしていました。

– 石巻に戻ろうと思った理由はなんですか?

いずれは実家に帰るつもりだったんです。正直に言うと、石巻のことは好きだと思っていなかったですし、 愛着がありませんでした。帰るつもりはまったくなかったんですね。 でも、震災があって、思い出の風景が無くなって、人もたくさん亡くなって、やるせなくなったというか。

– 好きではなかった石巻のことを考えるように。

でも、石巻を好きになるチャンスだと思いました。 いずれ石巻に帰るなら、好きな石巻に住みたいなと。震災時は東京にいて、 石巻にいることができなかったので、 震災のことを経験として語れないんですよね。変な感情かもしれませんが、それがすごい悔しくて。なので、震災のことは語れないけど、震災の後を語れるようになりたいなと思うようになりました。

– それで復興活動に携わることを考えるようになった。

はい。最初、お花で人を助けることができないかと考えました。ただ、震災直後の状況があまりにも悲惨で、お花は生きていく上で必要ないと思わされたんですよね。それでも、2011年の夏に「川開きウェディング」というイベントを企画しました。自分が初めて企画したお花を使ったイベントでした。それをやってみて感じたのが、「やればできる」「やるかやらないか」なんだと。


自分がイメージしたものをお花でも表現できるんじゃないか


– 自分のイメージしたことを実現できると実感したんですね。

そうですね。それから、自分の好きな音楽でも何かできるかもしれないと思って。石巻でフェスを開催するために、2011年12月に都内でイベントを立ち上げて、2012年夏に石巻の野外フェス「心の音楽祭」に実行委員として携わりました。そして、2013年4月に自分が企画した「PARKROCK ISHINOMAKI」を初開催。同年11月に東北ジャムin石巻を開催しました。

– 音楽イベントを中心に活動されていたんですね。

最初はイベントの準備で外に出てばっかりでしたね。でも、イベントだけではご飯を食べていけないので。数年後には息切れし始めて、自分の生活がままならなくなってしまったんです。ちゃんと地に足つけて活動しなくてはならないと気づかされて。まずはしっかりお花の仕事をやろうと決めました。

– 今では、多種多様なお花の活動をされていますが、何かきっかけはありましたか?

震災後、石巻には同年代で面白いと思える人がたくさんいたので、何かできるんじゃないかなって思いました。いろんな人とコラボするうちに、自分がイメージしたものをお花でも表現できるんだということがわかって、楽しくなってきて、お花に対する向き合い方が変わっていきましたね。

– クリエイティブ×花の世界が広がっていったんですね。

あと、もう一つ大きな理由は、 「Reborn-Art Festival」が開催されて、色んなアーティストの作品に触れることができたということ。 アートについては興味がまったくありませんでした。「アートって何?」みたいな。でも、いろいろ体験していく中で、自分もそういうことがお花でできるんじゃないかと思うようになってきたんです。昔の自分は頭でっかちというか、仕事をとりあえずこなすという感じでした。


お花は人に寄り添うことができるし、日常にもっとあっていいはず


– 最近のお仕事ではどのような変化がありましたか?

「Okuribako」というお花に触れる体験型ギフトサービスを提供しています。専用のサイトで相手のイメージや花の種類を答えて、それに合わせて作られたオリジナルのフラワーボックスキットが自宅に届く仕組みです。最近、ギフトを注文される方から「このお花を使ってください」と言われることはほとんどありません。「とりあえずお花でいいかな」という気持ちもわかります。でも、せっかくプレゼントをするなら、贈る側の人にも満足してほしいですし、相手を想う時間を大切にしてほしいなと。

– なるほど。たしかに、お花を贈ることはあまり慣れていないですね…。

特に若い人は、ギフトの選択肢にお花はあまり入っていないと思います。お花は人に寄り添うことができますし、日常にもっとあっていいはず。構えずにお花を手にとってほしいなと。それが、花育の機会に繋がっていったら、さらに嬉しいです。お花に触れる、自分で作る、想いをこめる機会を、「Okuribako」を通して提供していきたいですね。

– 最後に今後の意気込みを教えてください。

自分の創造力をもっと試したいですね。それこそ、個展もやってみたいなと考えています。あとは、自分で行動を起こすことですね。音楽イベントや作品制作をやっていなかったら、今、一緒に活動している人とも出会わなかったと思います。アクションを起こせば、なんらかのリアクションが起きて、それがまた新しい何かに繋がっていく。それこそ、自分の周りには行動している人がたくさんいるので、刺激をもらうことができています。この環境がすごくありがたいなと思っています。

 

フラワーガーデンはなき
HP : http://hanaki-f.com/
SHOP : https://hanaki.base.shop/
insta : hanaki_ishinomaki

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