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2019.4.2

カーシェアリングがもたらす共助社会の話

こんにちは!NHI(next hero ishinomaki)編集部のマキです。

最近、石巻のまちなかでよく見かける車が気になっています。車に貼られた印象的なキャラクターのステッカー。こちらの車を管理しているのは、「一般社団法人日本カーシェアリング協会」さんです。石巻駅北側へ歩いて5分程度の場所に事務所を構え、「石巻から寄付車を使った共助の雛形を作る」ことを目指してコミュニティ・サポート事業とソーシャル・カーサポート事業、モビリティ・レジリエンス事業(災害支援)に取り組んでいます。

震災時、石巻では6万台の車が津波によって流されました。車を買い戻せない人も多い中、仮設住宅が市街地のはずれに建てられたことによって、多くの交通弱者、移動困難者が生まれました。そのような人たちに手助けをすべく、活動発起人である吉澤武彦さん(現代表理事)が自身の師匠であるバウさん(故・山田和尚氏 神戸元気村代表)の提案を受けて、車集めを始め、仮設住宅に届けました。あれから8年の月日が経ち、今では約120台(通算寄付304台)の車と共に活動を続けています。

カーシェアリング事務局長の西條さんにお話を伺いました。

ーコミュニティカーシェアリングとは具体的にどのような活動なのでしょうか?

西條) 今は復興住宅や地域に車をお渡しして、日常の外出や、みんなで一緒に買い物に行ったり、行楽地に行ったり、車を通したコミュニティづくりをしています。ただ、私たちは車のドライバーをしません。コミュニティにいる人たちで移動を補える形にしていかないと継続するのは難しいと考えています。

ーそうしますと、車はどなたが運転されるのですか?

西條) ご近所さんがボランティアで運転しています。ドライバーが複数人いるところは、曜日交代で運転しています。ただ、親族以外の他人を車に乗せるので、事故やトラブルが起きる可能性があります。なので、ボランティアドライバーをするにはご家族の同意を得る必要があります。

ー様々なリスクがある中で、なぜ、ドライバーの方たちはボランティアを志願するのでしょうか?

西條) ボランティアドライバーの方々は、「震災を機に人生観が変わった」「何かやりたいという気持ちが芽生えた」という人が多いんです。 自分も車に助けられたという経験も理由のひとつかもしれません。ボランティアなので、仕事のようにやることが決まっているわけではありません。「ここまではできるよ」と、その人の無理がない範囲で動いています。中には、待ち合わせ時間になっても予約者が来ず、様子を見に行ったら、具合を悪くしていた、ということもありました。

ーコミュニティに対してカーシェアリングはどのような影響を与えているのでしょうか。

西條) 車をシェアすることによって、「この日に使いたい、乗せてって欲しいのだけど大丈夫?」という確認をしますよね。ひとつのものをいろんな人と共同で使うということで、自然発生的に会話が生まれます。人とコミュニケーションを取るきっかけになるんですよね。あとは、ご近所同士で買い物や旅行に行ったりと、外出するきっかけにもなっています。次回の予定をお茶っこしながらみんなで話しあうんです。その中で係や担当が生まれて、少しずつコミュニティとして自立していきます。住民たちで完結していくように私たちはお手伝いしています。

コミュニティカーシェアリングは非営利事業ですが、事業を持続可能にしていくためにソーシャル・カーサポート事業としてレンタカー、リース、保険代理店事業もされています。ボランティア経験者やNPOなどは、車を安く利用することができるそうです。また、震災で大きな被害をうけた牡鹿・雄勝・北上エリアの提携店で買い物や宿泊をすると、レンタカー代の一部がキャッシュバックになる「地域おこしレンタカー」制度などもあります。

シェアリング(共有)は所有することと比べると、確かに複雑で不安定な仕組みかもしれません。ただ、完璧ではないからこそ、お互いが助け合い、人と人がつながる機会が生まれています。車と共に作る共助の社会は、石巻から少しずつ世界へと広がっています。

以上、NHI編集部マキによる、まちなかレポートでした!

日本カーシェアリング協会
https://www.japan-csa.org/